こんにちは、理学部卒業、理学研究科修了のるびこです。
※理学療法士ではありません。
前回には大学院進学についての記事でした。
【大学生必見】大学院進学、メリット・デメリットまとめ 就職はどちらが有利?【実体験】 – ぐうの音
今回はどちらかと言うと大学進学についての記事です。
就活でも、自分の学部が企業から客観的にどう評価されているのかを知っておくことは大切だと思います。
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高校生時代・・・
高校3年生の僕は、セントラルサイエンスと呼ばれる化学に興味を持っていて、大学では化学を学びたいと考えていました。
就職とか卒業後のことは一切考えず、完全に好みです。
セントラルサイエンスと呼ばれるだけあって、化学は理学部はもちろん、工学部、薬学部、農学部などいろんな学部で扱うことができます。
なぜ、理学部に進学したのかというと
- より高難易度の受験を自分に課したいと思っており、理学部は得てして他学部より受験難易度が高かった(単純)
- いわゆる難関大と呼ばれるところにしか理学部は設置されておらず、高尚な学問であると思っていた(間違い)
- 高校の化学の教科書と同様に自然科学の研究をすることができた(あまり研究を「社会の役に立てたい」とは思えなかった)
優先順位が高い順に3つです。どれもあまり褒められた理由ではないですね。
なにが言いたいかというと、別にしたいことがあったわけではないまま、理学部に進学しました。
それぞれの定義
それぞれを辞書で引いてみます。僕は理学部出身なので「理学」から
り‐がく【理学】
1 物理学・化学・天文学などの総称。自然科学。「―博士」「―部」
2 物理学のこと。
3 中国宋代、宇宙の本体とその現象を理気の概念で説いた哲学。性理学。
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/230560/meaning/m0u/%E7%90%86%E5%AD%A6/
ここでは1の意味ですね。
そうです、自然科学なんです。自然科学とは何かは後述します。
こう‐がく【工学】
基礎科学を工業生産に応用するための学問。機械工学・土木工学・電子工学などのほか、人間工学などその研究方法を援用した自然科学以外の分野のものにもいう。
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/72060/meaning/m0u/%E5%B7%A5%E5%AD%A6/
工学は「自然科学以外の分野」と
やく‐がく【薬学】
化学物質を健康増進・病気治療との関係から研究し、医薬品の性質や開発・製造・効能検定・管理などについて研究する学問。
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/221351/meaning/m0u/%E8%96%AC%E5%AD%A6/
薬学のキーワードは「健康増進・病気治療」です。
のう‐がく【農学】
農業に関する学問。農作物の栽培・育種、農業生産技術、農政・農業経営などの改良や発展に寄与するための研究を行う。
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/171234/meaning/m0u/%E8%BE%B2%E5%AD%A6/
農学は「改良や発展に寄与するため」だそうです。
理学部とそれ以外(工学・薬学・農学)の違い
この分類にしたのは僕が理学部出身で深い思い入れがあるからではありません。
理学部とそれ以外を比較すると、「人」や「社会」がキーワドになると思います。
工学などは全て目的があります。何かを応用したり改良したりして、「人」の役に立て、「社会」を豊かにすることに貢献しています。
一方で理学は「人」や「社会」は一切関係ない、必要ないんです。自然現象の理(ことわり)を解き明かすための研究です。人の役に立てる予定はないわけです。
- 工学部など:人や社会の役に立つという明確な目的がある
- 理学部:誰の役にも立たなくても自然現象の謎を解き明かす
わかりにくいと思うので具体例で考えてみます。
テーマ「雨について」
雨のことについて人類が一切解明していない太古の話だと思ってください。
理学さん「どうやら雲から雨が降ってくるということを発見した」
→この時点では人々の生活は変わらない
工学さん「雲が多くて厚いと雨が降りやすいことがわかったぜ!」
→雲が多い日は人は傘を持ち歩くようになる!
理学さん「雲というのは水の集まりでできて、上空の風で流され移動している」
→それを知っても人々はどうしようもない
工学さん「雲は西から東に動いている!天気は西から順に変わっていく!」
→人々は西の空を見て雨を予報できるようになる!
こんな感じでお分かりいただけましたでしょうか?工学さんがいいとこ取りしているように見えませんか?工学とはそういう学問なんです。
注目して欲しいのは、
理学さんは「雨そのもの」について
工学さんは「雨と人との関わり」について注目しているとこです。
理学部の特異性についてはお分かりいただけたと思うので、工学・薬学・農学の違いについて簡単に説明します。
- 工学 → 物理学中心
- 薬学 → 化学中心
- 農学 → 生物学中心
ざっくり言うとこうなります。
ただし、理学部にも言えることですが、最近はピュアな物理学、化学や生物学は研究され尽くしてきて、境界領域の研究が盛んです。物理化学や生化学、生物物理学ですね。学部の境界が曖昧になりつつあるとも言えるでしょう。
現役高校生やその親御さんへ
要は自然界の謎を解き明かしたい(理学部)か、社会の問題を解決したい(工学部など)かということです。
それと自分がどの教科が好きか、これでおのずと決まってくると思います。
卒業後のことも視野にいれて考えたい場合は次の「現役大学生へ(就活に備えて)」をご一読ください。
現役大学生へ(就活に備えて)
別記事で詳しく書く予定ですが、はっきり言うと「有名企業・大企業に就職する」ということに重きを置いているなら、学部学科で有利不利は存在します。そのことを自覚しましょう。
その観点で話せば、理学部は就活で不利です。特に生物系。
逆に有利なのはこのご時世なので圧倒的に情報系だと思います。ハードをつくるメーカーですら大量に情報系を採用していますからね。
メーカーに限れば機械系はどこでも欲しがっています。
有名な大企業が優良企業とは限らないので、そこにこだわらなければ、準備次第で「自分にとっての」優良企業に就職することはどなたでも可能です。
理学部の皆さん、安心してください。
まとめ
学部をやりたいことで選ぶか、将来性で選ぶかは個人の価値観なので正解はありません。
ただ、選択肢として覚えておいて欲しいのは
大学院進学のタイミングで路線変更できる
と言うことです。研究室はもちろん、大学や学部を変えることもできます。
人と違うことをすることになるので、それなりにエネルギーは必要になりますが。
この記事が学部選びや就活準備の参考になれば幸いです。
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