僕の観測範囲ではここ数年で自宅にプロジェクターを持っている人が一気に増えたような気がしている。確かに各社からお求めやすい価格のプロジェクターが多くリリースされているので、僕の周りだけでなく世間一般でも言えそう。
万が一あなたの家にまだプロジェクターがないのなら、エントリーモデルをレビューしている「Andoroid搭載の小型プロジェクターBenQ GV1のレビュー」から読んでほしい。
プロジェクターが普及したからこそ耳にするのが、「そろそろもっといいプロジェクターがほしい」という声。
実際のところエントリーモデルでもプロジェクターならではの没入感や大画面は十分に満喫できる。ただ解像感はTVのほうが上だったり、細かい使い勝手が気になってしまったり、往々にしてエントリーモデルを使うと上位モデルに興味が湧くもの。
お金に余裕があるのならできるだけ上位モデルを買え、っていうのはこういうことなのだ。
そんなわけで僕もプロジェクターの上位モデルが気になっていたちょうどよいタイミングでBenQ様から「新しいモバイルプロジェクターを使ってみませんか?」とお声がけいただいた。
2020年7月に発売されたBenQ GS2というモデルを実際に1ヶ月半ほど使ってみたので、レビューしていく。
理系男子によるコスパ算出
大手メーカー勤務の筆者が、その経験をもとに製品の本当のコストパフォーマンスを評価するコーナー
価格の手頃感 | |
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生活への影響度 | |
長く使えるか | |
スペックに現れない価値 | |
所有する高揚感 |
総合コスパ:
モバイルプロジェクターに望むものが全て入ったアイテム
>同じコスパ評価の製品一覧
「価格の手頃感」、「生活への影響度」が高ければ高いほどコスパも高くなり、逆に「スペックに現れない価値」が高くなるとコスパは低くなります。なお「所有する高揚感」はコスパ算出の対象外。
具体的なモバイルプロジェクターの活用シーン4つ
まずは、なにはともあれモバイルプロジェクターがある生活はこんなに魅力的だよ!というのをお伝えしたい。
活用シーン1:自宅での映画鑑賞に
まず思い浮かぶのがこの使い方だろう。大画面に投影可能だし、解像感も720p (1280 x 720 ピクセル)と十分。明るい部屋でTVで視聴するのと暗い部屋でプロジェクターで投影するのとでは集中力がまるで変わってくる。途中でスマホを見ようとは微塵も思わないし、手探りで食べるポップコーンもなんだか美味しく感じる。
部屋が暗いと投影された画面を無意識に見入ってしまうし、TVと違って画面のふちを意識することがない。それでこんなに体験が変わるなんて。
惜しむらくは音。画面が大きいのに対し、やや広がりにかける音は若干バランスが悪く感じた。しかしこのクラスのプロジェクターを購入するユーザーなら、こだわりのスピーカーを持っているはず。AUXでもBlueToothでも出力できるのでお気に入りのスピーカーを接続できるはずだ。
逆にもしあなたがいいスピーカーをもっているのなら、その活用の幅を広げるためにプロジェクターを導入してみるのは大いにアリだと思う。
活用シーン2:みんなでゲームを楽しむ
プロジェクターで投影すれば、やり込んだゲームも全く別物に。友人とワイワイ楽しむのであれば、絶対プロジェクターの方がいい。
例えばゲーム画面が炎で一杯になれば、散乱した光で部屋全体が赤くなる。迫力も没入感も段違いだ。誰かがプロジェクターの前を通って別の誰かのプレー画面に影ができてしまうトラブルですら楽しい(暗い部屋で歩き回るときは足元には注意してね)。
エントリーモデルのGV1と違ってGS2はきちんとHDMI端子も搭載しているので、Nintendo Switchにも対応している。
活用シーン3:キャンプでその日の出来事を振り返る
GS2は「モバイルプロジェクター」と言うだけあって、屋外でも使用しやすい機能を搭載している。
- 内蔵バッテリーで3時間駆動可能
- 防水対応
- スマホからワイヤレス投影対応
- Bluetoothスピーカーとしても機能
充電して持っていけば、電源を確保できない場所でも使えるし、多少水がかかっても平気。流したい動画はスマホから転送も可能だし、電波の悪い場所なら予め準備したUSBメモリからだって動画再生可能だ、逆にこれ以上何を望むのか、というほどモバイル用途に適している。
ちなみにGS2自体がWi-Fiのホットスポットになるので、Wi-Fi環境がない屋外でもスマホ画面を投影可能だ。
「その日の日中にスマホで撮った動画を、夜にGS2で投影してみんなで鑑賞する」なんてやってみたいなあ。
活用シーン4:寝る前に天井投影
全人類に試して欲しいのがこの使い方。ベッドに入ったときにちょうど見えるように天井に投影するのだ。
流す動画はなんだっていい。気持ちよく眠りにつけるようにリラックスできる動画を流してもいいし、1日の疲れを忘れるために大好きなアニメをみたっていい。ただしホラーを流すのはおすすめしない。
BenQ GS2詳細レビュー
モバイルプロジェクターの素晴らしさは十分に理解していただけたと思うので、GS2の詳細をお届けしたいと思う。
同梱されているのはこんな感じ。
- GS2本体
- リモコン
- ワイヤレスドングル(後述)
- 充電器
- 説明書
- ケース
写真だと若干赤みがかって見えるが、落ち着いたブラウンのフェイスだ。側面はシリコン素材で覆われており、耐衝撃性や耐水性を持っている。
BenQ Smart Control
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なお角度調整すると、投影される画面も自動で台形補正される。
ケースは裏起毛になっており、クッション性もありそう。ケースのデザインは単体で見るとやや野暮ったいが、GS2本体のカラーリングとリンクしており統一感は高い。
詳しいスペックはBenQの公式ページを参照してほしい。
BenQ GS2のインターフェイスには大満足
インターフェイスはこんな感じ。左から
- ワイヤレスドングル(後述)
- 3.5mmオーディオ出力
- HDMI
- USB-C
- USB 2.0(タイプA)
HDMIでもUSB-Cでも映像入力可能。このサイズでどちらも搭載してるのはうれしい。
個人的に歓喜したのが充電端子の仕様。みんな大好きマグネット端子なのだ。
プロジェクターは暗いところで使用するので、何かを引っ掛けてしまう可能性が高い。そんなときでもマグネットなら外れてくれるので安心だし、バッテリーを内蔵しているGS2ならそのまま稼働もできる。隙がない。
ついに来た!家庭用プロジェクターにもAFの時代
なんとGS2にはオートフォーカス(AF)機能が搭載されている。もともと高解像でピント面が掴みやすくフォーカシングはしやすい、とはいってもAFはやはり便利だ。
さらにAFの使い勝手が素晴らしい。起動すると直ちにフォーカシングが始まるのだ。いざ使い始めるときにはピントは合っているという準備の良さ。
モバイルプロジェクターという特性上、都度置き場所がかわることもある。だからなおさらAFは役に立つ。AFも台形補正もできて、設置の手間はほぼないと言っていい。
Andoroid内蔵なのでスタンドアローンでも使える
GS2にはAndroidベースの「Aptoide TV」というOSが内蔵されている。NetflixやYouTubeアプリをダウンロードしてスタンドアローンで(スマホやPCから映像入力しなくても)使用可能だ。
ただしPrime Videoは使用できなかった。Huluも日本語版アカウントではログインできなかったり、YouTubeは視聴は可能だがログインができなかったり、いくつか制限がある。
スマホやPCからの投影を前提として、Aptoide TVはおまけ、くらいに考えておいたほうがいいかも。
ワイヤレスでの投影にも一部制限あり
著作権で保護されたコンテンツはワイヤレスで投影できないので注意したい。具体的にはPrime VideoやNetflixなどだ。
- NetflixはAptoide TVでアプリをダウンロードすればOK
- Prime VideoはHDMIやUSB-Cで有線接続
上記のようにすれば、プロジェクターで楽しむことができる。じゃあ逆にワイヤレス投影で何ができるの?というと、YouTubeの投影やスマホ内にある写真や動画の再生だ。
もちろんHDMIやUSB-Cで有線接続すれば制限は一切ないので安心してほしい。
Wi-Fiモジュールは外付け、その理由とは?
GS2はWi-Fiなどのワイヤレスモジュールは外付け仕様になっている。上の写真のワイヤレスドングルを本体に差し込んでおく必要がある。
なぜ内蔵せずに、わざわざ外付けにしたのだろう、と疑問に思った方もいると思う。僕もその一人だ。
そこでBenQの設計者に聞いてみたら、なんとも素敵な回答が返ってきた。要約すると・・・
昨今ワイヤレス機能の進歩は非常に早いです。一方でプロジェクターのライフサイクルはそれ以上に長くなっています。もし現在のワイヤレスドングルの企画が時代遅れになっても、最新の規格のワイヤレスドングルに換装してもらえば、プロジェクターを買い換えることなく快適に使い続けられます。
とのこと。メーカーとしては機能が時代に則さなくなったら、まるっと買い替えてもらうのがうれしいはず。でもユーザーのことや環境のことを考えて、なるべく買い換えずに使い続けられるように、というBenQの生かした心意気なのだ。
大量消費社会に一石を投じるBenQの姿勢に僕は感動してしまった(けどワイヤレスドングルが引き抜きづらいのはなんとかしてほしい、抜く機会はめったにないけれども)。
今日のぐうの音
今盛り上がりを見せているモバイルプロジェクター市場に4K DLPプロジェクター日本シェア率No.1のBenQが自信を持って投入したモデルが、このGS2であるというのが伝わる製品だった。
昨今、外出を自粛している都合モバイルプロジェクターを外に持ち出して使うことはまだできていない。しかし家の中で使用するだけでも可搬性の高さは圧倒的に有利だ。
プロジェクターを常設できないので、都度片付ける必要がある。小型なので片付けも楽だし、場所も取らない。リビングでゲームをしたあと、寝室に持っていって横になりながらアニメを見る、みたいな使い方も持ち運べるからこそできる。
そこそこ大きな液晶TVが買えてしまうほどの値段ではあるが、TVとは用途も楽しみ方も全く異なるアイテムなのだということを実感した。価格に見合う価値はある。
もしこの記事を読んで、魅力が少しでも伝わったなら公式サイトやECサイトでチェックしてみてほしい。
「ちょっとGS2は高いなあ」と感じたら、より小型で安価なGV1を検討してほしい>Andoroid搭載の小型プロジェクターBenQ GV1のレビュー
ラップトップ:13インチMacBook Pro
キーボード:HHKB Professional BT
マウス:Logicool MX ERGO
モニター:BenQ EW3270U
ヘッドフォン:SONY WH-1000XM3
スピーカー:Bose SoundLink Resolve