Air Podsが売れに売れている。TWS(True Wireless Stereo)イヤホンのではダントツのシェアだ。そんな業界に一石を投じるイヤホンがクラウドファンディングMakuakeで出資を募集している。
おもしろい完全ワイヤレスイヤホンが届きました!
滅茶苦茶うっすい
音質もなかなか
#マクアケ でクラファン中ですhttps://t.co/JdjoXOn7Lf #CARD20 pic.twitter.com/ekeU539dBt— るびこ@理系男子のぐうの音 (@ruvico_gunone) January 26, 2020
CARD20という世界最薄クラスのTWSイヤホンだ。一般販売前ではあるがサンプルを提供していただいたので本記事でレビューしていく。なお、記事の執筆はサンプルを提供していただく必須条件ではない。念のためPRタグは付与したが、オススメしたいと思えるいい商品だからこの記事を書いている。
CARD20はこんなイヤホン
- 世界最薄クラス
- だけど長時間連続再生可能
- インナーイヤー型
- 大柄ドライバー搭載で迫力のある音質
他にはない魅力を持った商品ではあるが、実のところ万人にオススメできるものではない。そういった注意点も含めて、詳しくレビューしていこうと思う。
理系男子によるコスパ算出
大手メーカー勤務の筆者が、その経験をもとに製品の本当のコストパフォーマンスを評価するコーナー
価格の手頃感 | |
---|---|
生活への影響度 | |
長く使えるか | |
スペックに現れない価値 | |
所有する高揚感 |
総合コスパ:
インナーイヤー型なら隙きのない世界最薄クラスのTWSイヤホン
>同じコスパ評価の製品一覧
「価格の手頃感」、「生活への影響度」が高ければ高いほどコスパも高くなり、逆に「スペックに現れない価値」が高くなるとコスパは低くなります。なお「所有する高揚感」はコスパ算出の対象外。
CARD20は世界最薄クラスのTWSイヤホン
まだクラウドファンディング中でありギーク向けの製品であるのに、ケーブルも付属していてとても親切。
ケースはおそらくアルミ製で、ひんやりとした質感が心地いい。スタイリッシュなデザインも相まって、所有欲は大いに満たされる。
わずか13.4 mmという薄さは驚異的。極限まで無駄を削ったミニマルさを感じる。具体的にどのくらいの薄さかというと、タイトなジーンズのコインポケットに難なく入るほど。でもMakuakeで謳っている「財布に入る」は言い過ぎかなあ。
蓋は大きく開くため、イヤホンをスムーズに取り出せる。
イヤホン自体も非常に小さく、軽い。ケースと違い樹脂製なので、耳に入れても冷たくはない。こんなに軽いイヤホンで4時間も再生できるというから驚きだ。
このケースで充電することで最大16時間再生できる。この軽さに対して、十分すぎるバッテリーだ。なお、左右反対にイヤホンを入れることはできない構造になっていて、見なくても手元だけで仕舞うことができる。
実はこのケース、結構考えられている。蓋が大きくくり抜かれ、天窓が空いているのだ。
天窓が紛失防止に役立つし、薄さにも貢献していて合理的。
片耳たったの3.5 g(実測だと両耳で6 gとなっているが、誤差だろう)、ケースを含めても34 gと、大変に軽量。
迫力がある音作り
音質の総評としては「よくこの筐体でこの音を鳴らすな」という素直な驚きを述べておきたい。
音質にこだわるイヤホンは金属板などを配置したり、大型のドライバーを搭載したりと重厚になりがち。一方でCARD20は片耳あたり3.5 gと持っているか分からないほど軽量。正直なところ音質は期待していなかった。
それはいい意味で裏切らることになる。この小さな筐体に大型のドライバーを搭載していて、なかなかどうして迫力のある音を鳴らしてくれる。音量もかなりとりやすいし、ノリのよい音作り。とくに中音域がよく鳴り、ボーカルが近く感じる。
一つ付け加えておくと、上記は筐体の軽さに対してのコメントである。価格に対して考えれば、音質は妥当といったところ。有線の音質に全振りしたモデルを探せば同価格帯でさらに高音質のイヤホンもあることは付け加えておく。まあこれは、TWSイヤホン全般に言えることだが。
なお、ノイズキャンセリングの記載がクラウドファンディングのページにあるが、CVCノイズキャンセリングという通話中のノイズ軽減機能を指している。音楽再生中の外部ノイズを逆位相で打ち消すアクティブノイズキャンセリングとは似て非なるものなので注意したい。そもそもインイヤー型ではノイキャンは現実的ではない。
カナル型ではなくインナーイヤー型
CARD20は耳栓のようになるカナル型ではなく、インナーイヤー型だ。カナル型でないというのはデメリットのように聞こえるかもしれない。
実はカナル型とインナーイヤー型はどちらが優れているというわけではない。それぞれの好みであり、適材適所の使い分けなのだ。ちょうど醤油ラーメンと味噌ラーメンの関係に似ている。
そういう認識がある上であえて言わせてもらうと、カナル型でないところが実に惜しい。
インナーイヤー型の特徴は以下
- 外の音も聞こえる
- 閉塞感がない
- 抜けのいい音
- 装着感は悪い傾向あり
上記の中でTWSイヤホンにおいては4が厄介である。耳から抜け落ちてしまうからだ。薄型設計を優先したためかCARD20は平面的な形状をしている。これでは耳には合わない人もいるだろうなあ、というのが正直な感想だ。
そして予想外のメリットが装着時の見た目。非常にスタイリッシュで、耳から不自然な出っ張りが生じない。
自分の耳に合うか実物を手に取って試して欲しいと言いたいところだが、一般販売はまだされていないのが歯痒い。
タッチ操作もあと一歩
左右のハウジング部を2タップや3タップすることで様々な機能が割り当てられている。片耳使用時は片耳用の昨日割り当てに切り替わるなどよく考えられている。使っていて感度は決して悪くない。
しかしながら「あと一歩」と評価させてもらった理由は応答速度の遅さだ。
例えば右のハウジングを2タップで一時停止/再生ができる。しかしタップしてからワンテンポ遅れるのだ。
例えば音楽の再生中に一時停止しようとして、2タップするとすぐには停止しない。「あれ、反応しなかったのかな?」ともう一度2タップすると送れて一時停止がやってきて、そして次のタップによる再生が起きるのだ。つまり一時停止するつもりが、一瞬停止してまた再生してしまうという間の抜けた感じになってしまう。
まあ、慣れれば問題なく操作できるようになるし、この薄く小さい筐体にタッチセンサー(もしかしたら振動センサー?)を埋め込んだことは素直に評価したい。
USB-Cで充電は高ポイント
平成の時代にUSB-Cを望むのは一部のガジェット好きのみだった。まだmicro USBが主流だったためである。しかし今は令和。USB-Cの時代である。しっかりUSB-Cに対応しているあたり、非常にポイントが高い。
惜しむらくはポートが底面にあるため、充電中は裏返しておく必要がある。しかしこれは薄さとのトレードオフ。薄さのためなら僕は喜んで受け入れる。
CARD20を使いたい3つのシーン
実際にCARD20を使ってみて、こんなシーンで役立ちそうだなあ、と思ったのは下記の3つ。
- 常にかばんに忍ばせ、外出時に音楽を楽しむ
- メインイヤホンが電池切れのときのためのサブ
- 家で常につけておく
それぞれについて解説していく。
シーン1:常にカバンに忍ばせ、外出時に音楽を楽しむ
薄く小さいというメリットを最大限に活かせるのはやはり外出時。
「イヤホン使うかな?今日は使わないかな?な」なんて悩むのはCARD20を持っていなかった過去の話。非常に薄型だからどんなカバンにも、なんならポケットにも忍ばせておける。
シーン2:メインイヤホンが電池切れの時のサブ
「もうTWSイヤホン持っているしなあ」と思っているあなた。いざ聴こうと思ったら電池が切れていた・・・なんて経験はないだろうか。そんな日の気分の下がり具合は想像を絶する。
そんな時のために有線イヤホンも持ち歩く人も多いが、それをCARD20に替えてみてはいかがだろうか。価格もそこまで高くはないため、サブのイヤホンとしても十分にお勧めできる。
有線イヤホンと同じか、それ以上に場所をとらない。普段は持っていることすら忘れてしまうかもしれない。でも一旦起動すればTWSイヤホンの快適性はもちろんそのまま。
シーン3:家で常につけておく
インナーイヤー型で軽いので、こんな使い方もありだなあ、と感じた。
閉塞感がないので耳の形にフィットしていれば、長時間つけ続けても違和感はない。外の音は聞こえるので、宅配便のチャイムやお風呂が沸く合図は聞き逃さない。なんなら同居人との会話すら可能だ。
それでいながらBGM的に音楽を流したり音声ニュースを聞いたりできて、非常に便利だ。
インナーイヤー型で軽いからこそなし得る裏技的な使い方だ(同じ条件を満たすProでないAir Podsでも可能かもしれない)。
今日のぐうの音:ピーキーな意欲作
かなり厳しめのレビューになってしまった。それは意欲作であるためにツッコミどころがたくさんあるからで、レビューする側としては非常に面白い商品だった。
ピーキーであるということは裏を返せば刺さる人には刺さるイヤホンであることは間違いない。Makuakeで2/28まで出資を受け付けており、一般販売よりも安く手に入るので気になったらチェックしてみてほしい。
追記:購入後のサポートについて
実は僕のCARD20が故障してしまった。充電ができなくなってしまったのだ。メーカーに問い合わせたところ、新品と交換してくれるとのこと。
クラウドファンディングに出資していただいた方に対しても、万が一不具合が発生した際はサポートしていただけるそうなので安心して欲しい。ただしクラファンという生産体制の事情で迅速なサポートとは言い難いので、そこだけは理解した上で出資を検討したい。
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