「標準レンズの帝王」、誰がそう呼んだのか。
なんと、調べてみたら自称だそうで。
購入後にそのエピソードを知ったのですが、使ってみたら自称帝王も納得の標準レンズでした。
定番中の定番とも言える50 mm F1.4。フィルムカメラ時代から誰もが一度は使うレンズとして有名。
その言葉に間違いはありませんでした。先人は偉大。
カメラの勉強のためにも誰もが持っておくべきでは?と思ったので、その理由も含めて紹介します。
五感に訴えかけるレンズ・Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZF
Nikon Fマウントのレンズです。使ったマウントアダプターは後半で説明します。
ちなみに「ZF.2」というモデルもあります。電子接点のついた新しいモデルですがマウントアダプター経由で使うならどちらでも同じ。ということで、より安価な「ZF」の方を購入しました。
中古で購入しましたが箱付きでした、うれしい。
レンズ構成が描いてあってわくわくします。6枚7群、およそ対称に並んでいてキレイ。ダブルガウス型?この辺の話は僕はさっぱりですが、光が素直に屈折しそう、という気がします。
全群繰り出しのフォーカシングも、直感的に分かりやすいですし、光学の勉強の初歩にはちょうどよさそう。
というわけで、同梱されていたのは
- レンズ本体
- フロントキャップ、リアキャップ
- レンズフード
- 説明書
です。一通り揃っているのかな。
絞り開放です。
F1.4なので有効口径の巨大さがよくわかります。50 mmでもF1.4なら大口径って言っていいですよね?
そしてこちらが最も絞ったF16。まあ、F16を使う人はあまりいないと思いますが参考までに。
SONY純正で完全電子制御されているレンズだと、ボディから外した状態では好きに絞りを操作することができません。電源OFF時にある程度絞られてしまいますから(多分センサーを保護するため)。
このようなマニュアルレンズでは、実際の絞り値と絞り羽根の挙動を見ることができるので露出の勉強になる気がする。「1段絞れば光の量が確かに半分になる!」って体感できる。
そしてこのフード。
実はフードがCarl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZFのお気に入りポイントかもしれない。
金属製で質感が抜群。そして着脱のトルクが絶妙で気持ちいのよ。ずっとカチャカチャ回したくなる。レンズフードが「カチッ」って止まったときのクリック感。これは他のどんなレンズでも味わったことのない感触。ぜひ試していただきたい。
SONY α7IIとの組み合わせも大好き
「SONY αでNikon Fレンズを使うためのアダプターの選び方【K&F Concept】 – 理系男子のぐうの音」で紹介しているマウントアダプターを使ってSONY α7IIに装着してみました。
この数字がゴチャゴチャ書いてる感じたまりませんよね。
この指標を見ながら写真作りをしていくのが楽しいわけですが、絞り環以外気にしなくても問題なく撮影できてしまうのがデジタルカメラ(とくにミラーレス)のいいところ。
このフードが・・・って話はもうしましたね。
「レンズとは本来かくあるべき」と語りかけてくるよう
この立体感、アウトフォーカス部がなだらかにボケていく感じ。すき。
「絞り開放からしっかり解像」こんなフレーズはレンズのレビューで聞き飽きているかもしれません。
特に(僕のように)カメラを始めたばかりで、最新のレンズしか使ったことがなければ「開放から解像して当然」と思っているかも。
「レンズは絞ると解像度が高くなる」という物理的に普遍の真理を、レンズの基本を教えてくれるのがCarl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZFでした(ちなみに絞りすぎると回折現象で画質は劣化するので注意)。
Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZFは絞り開放での解像度は甘い
そんなに古いレンズでもないですが、絞り開放の描写は甘め。
そして周辺減光もそこそこある。上の写真は周辺減光を強調してますが。
ピント部も少しソフト。柔らかい描写でポートレートにもよさそう。ポートレートと周辺減光も相性いいですし。
Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZFは絞るとパキッと解像する
この写真はF4か5.6くらいだったと思います。かなりしっかり写ってますよね、馬の毛とか。
そんなに古いレンズではないおかげか、絞れば最新のレンズのように解像します。
この絞りによる描写の変化、二面性がCarl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZFの魅力でもあります。1つのレンズで異なる描写を楽しめるわけですから。
歪曲収差もそこそこある
iPad2枚が樽型に歪んで見えますね。
撮ったあとで気づいて、Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZFは物撮りには向かないな、と気づいた一枚。
普通に使う分には全く気にならないのに。
これ一本で出掛けられる安心感
先述の通り、
- 絞り開放におけるふんわりな描写
- 絞った時のカリッとした気持ちのいい描写
これらの2つの顔をCarl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZFは持っています。
さらに50ミリという画角のおかげで、
- 寄れば広角レンズっぽく
- 引けば中望遠レンズっぽく
という、一粒で4度美味しいようなレンズなんです。
今日のぐうの音
「Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZFが最新レンズとは違うってことはよくわかった、じゃあオールドレンズとは何が違うの?」
って聞かれると
- T*コーティングによる逆行耐性
- 絞ったときのデジタルに対応したシャープな描写
なんかは当然なんですが、一番はレンズのきれいさかなと思います。フィルムカメラ時代のオールドレンズは使用感があって当然。しかしCarl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZFは比較的新しいため、きれいなレンズが多いです。
ずっと持っていても手が錆び臭くならない。これは使ってみて初めて分かる魅力でした。
フォーカシングも、絞りの操作もマニュアルのレンズは使っていて楽しいし、カメラの勉強にもなります。
SONYのPlanar 50mmより非常にお手頃なのでオススメ。Planar、一度は手にして欲しいレンズです。
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