8月にLeica M10-Rを購入して、3ヶ月ほど使用してみたのでレビューしていく。
Leicaっていわゆるレビューブロガーによるレビューが少ない気がするので、ここはブロガーらしく他のカメラと同じようにメリット・デメリットを語っていこうと思う。
今年30歳になるので、自分へのお祝い・・・というよりは、20代のうちに手にしておきたいモノとして・・・
— るびこ@理系男子のぐうの音 (@ruvico_gunone) August 15, 2021
購入しました!! pic.twitter.com/cJ1rzznkc1
理系男子によるコスパ算出
大手メーカー勤務の筆者が、その経験をもとに製品の本当のコストパフォーマンスを評価するコーナー
価格の手頃感 | |
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生活への影響度 | |
長く使えるか | |
スペックに現れない価値 | |
所有する高揚感 |
総合コスパ:
機能に対して価格が高すぎる。それでも欲しいのがLeica。
>同じコスパ評価の製品一覧
「価格の手頃感」、「生活への影響度」が高ければ高いほどコスパも高くなり、逆に「スペックに現れない価値」が高くなるとコスパは低くなります。なお「所有する高揚感」はコスパ算出の対象外。
Leica M10-Rはついに完成されたデジタルM型Leica
Leica M10-Rの気に入ったポイント、イマイチなポイントは以下の通り。
気に入ったポイント
- 思い出も切り取るような濃密な撮影体験
- 機能の進化に目移りせず長く使い続けられる
いまいちなポイント
- スペックにしては高価
- Leicaのレンズや他のボディも集めたくなる
購入した経緯
詳細なレビューの前に「なぜ購入したのか」から紹介していく。
最高の撮影体験を求めて
スマホで十分綺麗な写真が残せるようになった今、僕がカメラに求めているものは何か、とゼロベースで考えてみた。すると僕は「綺麗な写真」というアウトプットが欲しいのではないことに気づいた。「綺麗な写真はスマホでも撮れる」が国民の総意であることは、右肩下がりのカメラの販売台数を見ればわかる。
僕が本当に求めていたのは「撮影体験」というプロセスだったのだ。
カメラを使うとスマホとは比較にならないほどの良質な撮影体験ができる。心地よいトルクのダイヤルを回して被写界深度を調整したり、露出をアンダーやオーバーに振ってみたり。撮影体験というと聞こえがいいが、要はカメラいじりが好きだったのだ。写真よりカメラが好き。
このことを実感したのは皮肉にもオールドレンズでAFを可能にする「LM-EA7」を使った時だった。使う前は楽しかったオールドレンズがさらに身近に、楽しくなると期待した。いっときは物珍しさにしきりにシャッターを切ったが、すぐに飽きてカメラをあまり触らなくなってしまったのだ。
アンチテーゼとしてレンジファインダーへと帰っていくのは自然な流れだったのかもしれない。
Leica QやLeica M10も悩んだ
初めはLeica Qを買おうと思っていた。価格も手頃だし、何よりレンズ沼にはまらなくて済む。そしてAFが使えるので片手でも撮影可能だ。近接撮影もできてまさに必要なものが全て揃っている。
・・・が、Leica Qを買わなかった理由は一つ「M型Leiaが欲しくなることが目に見えていたから」に他ならない。だったら初めからM型Leicaを買っておくべき。賢い。
M型Leicaと決めてからは、価格が手頃になってきたM10シリーズを候補に考えた。・・・が、せっかく買うならやはり「その時点での最新モデルの方が長く使える」のでは、と考えM10-Rの購入に至った。価格差は20万円以上あったが、まあそれでカメラの買い替え回数が1回減るなら悪くはないだろう。
外観を紹介
M10シリーズはデジタルのMシリーズとして「完成された」と評されることが多い。僕はフィルムMシリーズを使ったことはないのだけれど、歴代のデジタルMシリーズの不満点を一通り潰したモデルになっていると思う。
- M8:APSーH、IRフィルター必要
- M9:センサー剥離問題
- M(typ246, 262):ボディの厚み
これらを全て解消して、満を持して登場したのがM10となる。
そして僕が購入したのはM10シリーズでも最後のモデルであるM10ーRだ。M10シリーズの集大成と言ってもいい。
シルバーを選んだ理由
Leica M10-Rは限定カラーを除けば以下の3色展開だ。
- ブラッククローム
- シルバークローム
- ブラックペイント
かねてからのLeica愛好家には、ブラックペイントが圧倒的な人気らしい。なんでも使い込むとペイントが剥げてその下の金が覗くエイジングがたまらないらしい。確かにエイジングは魅力だが、僕は単体のかっこよさよりもレンズと合わせた時のトータルコーディネートを優先した。
オールドレンズを使うことも考えると、やはり相性がいいのはシルバーだろう、という魂胆。
高画素機ってレンジファインダーと相性良い
購入前はM10の2400万画素で十分すぎると思っていた。オールドレンズを多く使うし、等倍に拡大して楽しむ趣味もない。しかしレンジファインダー機においては高画素機と相性がいいのでは?と思うようになってきた。その理由は、以下の3つ。
- 最短撮影距離が70cm〜1mのレンズが多く、寄れない
- 基本的に使えるのは単焦点レンズ
- パララックスで構図にズレが生じることがある
これらはどれもトリミングで解決できる。これならレンジファインダーも怖くないのでは?買う時点で最上位のモデルを買っておけば将来的に後悔することも少ない。
問題はストレージの圧迫くらいか・・・。
気に入ったポイントを解説
国産カメラとは一線を画すビルドクオリティ
国産カメラは基本的に大量生産で、量産性を考慮された設計になっている。Leicaのカメラからは量産しやすさがおよそ感じられない。ユーザーから見える位置にネジが一つもないし、金属部品に継ぎ目もいっさいない。プレスやダイカストではなく、コストのかかる切削加工を用いている証だろう。
国産のカメラメーカーがこんなコスト度外視のことを使用とすれば、株主が許さないだろう。中小企業規模だからこそできるこだわりだろう(Leicaって非上場なのかな)。
光だけでなく、思い出も切り取るような濃密な撮影体験
Leica M10-Rは極端に不便なカメラだ。それゆえミスも多い。その分、試行錯誤が必要で撮影が非常に楽しい。
第一にMFしか使えない。レンジファインダーで二重像を合わせることによってピントを合わせる。あとで撮影した写真を見れば、どこで二重像を合わせたのかが思い出せるし、多少ピントを外していてもなぜ外したのかも思い出せる。写真は一瞬を切り取るとよく言うが、Leica M10-Rで撮るとその前後の思い出も一緒に切り取っているようだ。
次に光学ファインダーであると言うこと。撮影結果がプレビューされるEVFに慣れていると、逆に新鮮だ。上手く撮れたと思っていたら
- ものすごいゴーストが入り込んでいたり
- 露出を思いっきり外していたり
- 逆に想像した以上にいい写真になっていたり
仕事なら思ったような写真が撮れないのは困るが、趣味ならこれ以上楽しいことはない。
長く使い続けられる
Leica M10-Rは長く使い続けられると思っている。理由は機能が少ないから。
デジカメを買い替えたくなる理由は、今使っているマシンの機能に不満を感じるから、という場合が多い。最近の傾向だと動画機能とAFの進化が目まぐるしい。つまりその2つの機能は陳腐化しやすいということ。
Leica M10-Rはどうだろう?AFもできないし、動画も撮れない。性能の進化に振り回されることなく、長く使い続けられるのではないか、と期待している。
イマイチなポイントを解説
レンジファインダーの短所はたくさんあるけれど、これは別の場所で語り尽くされていると思う。本記事ではレンジファインダーの短所は差し引いても残るLeica M10-Rのイマイチなポイントを述べておきたい。
高感度耐性はそこそこ
最近のカメラのISO数万でも撮れまっせ、というほどではない。具体的にはSONY α7Cにも劣ると思う。等倍同士の比較ではなく、同サイズで表示しての比較だ。
まあ、僕はノイズなんて気にせずISO12500くらいは普通に使うけれど(そしてなぜか12800ではなく12500なんだよね)。
そしてモノクロにすればISO40000でも普通に使える印象。
作例は最後にまとめて掲載しています。
Leicaの絵作りとかダイナミックレンジとかはもう少し使い込んでから改めてレビューする予定。
高画素きだから手ブレが気になるというレビューもあったけれど、それは等倍表示するから。同じ大きさまで縮小して鑑賞するのなら、どれだけ高画素だろうと手ブレに対する敏感さは理論的には同じはず。
修理代、盗難のリスク
本体価格は高いけれど、それはあまり問題ではない。なぜなら買取価格も高価だし、国産カメラに比べれば値下がりも遅いからだ。
しかし修理代は高い(らしい)。ドイツに送って修理とかだと、まあそうなるよね。
そして本体価格が高さは盗難や紛失のダメージの大きさに正比例する。これはいくら買取価格が高かったとしても意味をなさない。高価なカメラやレンズを買うときは、このことを肝に銘じておきたい。
Leicaボディやレンズを集めたくなる
レンズ交換式のカメラはボディを買って終わりではない。レンズも欲しくなる。そこまでの予算を考えておくべきだ。まあMレンズは完全に機械式なので、数十年は使えるし、数十年後でもリセールバリューを保っていることが予想される。
Leicaに特異なのは他のボディも欲しくなるところだろう。実際に僕はCCDセンサーを積んだM9や、M10-Rからカラーフィルターを省いたM10モノクロームが欲しくなっている。
今日のぐうの音
Leica M10-Rを使って3ヶ月。思うのはこんなところだ。購入までに考えたことや、さらに使い込んだレビューも追ってしていきたいと思う。
購入してからは通勤時は必ず首から下げてスナップを撮っているし、家でも何気ない瞬間で毎日シャッターを切っている。本当に撮っていて楽しいのだ。カメラとの関わり方を変えてくれたLeica M10-Rには感謝している。
最後に作例を掲載する。
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— るびこ@理系男子のぐうの音 (@ruvico_gunone) September 20, 2021
アポランターの抜けの良さに驚いた#Leica #LeicaM10R #Voigtlander #Voigtlander_japan #Apolanthar #Apolanthar35mmF2 pic.twitter.com/DkIy3ugKMk
— るびこ@理系男子のぐうの音 (@ruvico_gunone) September 19, 2021
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— るびこ@理系男子のぐうの音 (@ruvico_gunone) October 31, 2021
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— るびこ@理系男子のぐうの音 (@ruvico_gunone) September 17, 2021
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— るびこ@理系男子のぐうの音 (@ruvico_gunone) November 2, 2021
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