こんにちは、理学研究科修了のるびこです。
就活の時からなんとなくは感じていたのですが、やはり会社に入ると理学部の研究内容って、工業的・商業的な価値はまだ低いということを実感しました。
理学部・理学研究科の学生はそのことを認めつつ、理学部なりの強みもあるのでそれを活かしていって欲しいと思います。
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理学部って何をするところ?
ずばり、基礎研究です。基礎研究は高校の教科書の続き、その最も先端のところと思ってもらえれば。
自然科学の研究ですね。
「これがわかれば、社会はこんな風に変わる」と言ったように人間中心の学問ではないんです。
人間がいなくても起きうる現象、と言うと語弊がありますが(超高圧、高温、光線の利用など自然界とかけ離れた条件を準備することもある)人間中心の研究ではないのです。
この記事に詳しくまとめてます。
講義の内容から違う
私は化学を専攻していたのですが、講義は大きく分けて有機化学・無機化学・物理化学の3つでした。
しかし、工学部で化学をやっていた連中は、高分子(樹脂)や金属など、より具体的でより身近な、いかにも役に立ちそうな講義を受けてきてるんです。
そして、会社(メーカー)に入って研修で学ぶのも樹脂や金属ばかり、、、
会社は人間の営み!人間ありき!
機械でも、電気電子でも、材料でも、情報でも工学部の研究は必ず用途がありますよね。それって理学部の人間からすると理解できないんです。
思考回路が違う!
例えば、
「銀は電気伝導性が高い」
という事実に対しても
「なぜ電気伝導性が高いのか、電気伝導性が高いってそもそもどういうこと?」って考えるのが理学部で
「ふむふむ、電線に使えるな。更に電気伝導性を上げる加工法があれば捗るな。ただし銅より高価なのが難点だ。」と考えるのが工学部
といった具合です。
そりゃあ工学部の方が会社で役立つのは火を見るより明らかですよね。
そうなんですよ、悲しいけどこういうことなんです。
でも、自然科学の研究は楽しい!
誰のためとかそういうことを気にする必要が無いのが自然科学です。
- まだ誰も知らない
- 純粋に気になる
こんなモチベーションで十分なんです!エゴです!
それってすごいことだと思うんですよね。
なんか社会に、人間に流されないってかっこいいじゃないですか(中二病)
純粋に世の中の謎、理(ことわり)を解き明かすことを生業にするなんて自分ってすごい(ナルシスト)
理学部の人間は会社でどう役立つか
会社では理学部無能とさんざん言ってきましたが、きっと役に立つ場面はあると思うんです。だって私も採用されましたし。
私はまだ新入社員で研修ばかり、、、役に立っている気は一切しませんが、「これからこういう風に活躍していきたい!」という意気込みも込めてあげていきます。
1.ゼロベースで純粋にサイエンスの視点から考えられる
「人の役に立ちたい」という思考回路がないため、ある意味ドライな意見が言えると思います。もちろんそれだけでは会社は成り立ちませんが、そういう視点も取り入れることは必要、という意味です。
2.機械や電気電子、情報などに苦手意識がない
やっぱり機械系出身の人は自分は機械に詳しいと思ってますし、他の分野よりはその知識を活かして仕事がしたいと思っています。電気系も情報系も他もそうです。
しかし、理学部はそういう得意がないです。その代わり、すでに出来上がっているサイエンスのベースの上になんでも乗せることができます。難なく機械の専門家にも電気の専門家にもなれる可能性を持っています。
3.本質的に物事を捉えられる
「人のため」というゴールがあると、それに都合のいい結果を求めてしまいます。測定データも恣意的に解釈してしまうこともあるでしょう。
しかし自然科学はそれがありません。結果の予測は立てますが、大きい値が出てもそれがこの世の理(ことわり)、小さい値が出てもそれがこの世の理(ことわり)。
恣意性を排除して考えることができます。データを素直に捉え、解釈できるということですね。
今日のぐうの音
タイトルにもありますが、大学で役に立つことをやっているのは工学部であることは間違いありません。しかし、それはすぐに役立つという意味で、理学部の研究の経験も、研究の成果も10年、100年後は役に立っているかもしれません。
すぐに役立つ知識がなくても、理学部を採用してくれるのは理学部を必要としているからです。同じような人だけ集めても会社はうまく行きませんからね。
理学部・理学研究科の学生で企業に就活を考えている人のお役に立てばうれしいです。
就活の記事書いてます。