「カメラメーカーを変えたらこれまで揃えたレンズが使えなくなる。」
これは事実で、レンズ資産なんて呼ばれている。各社独自のレンズマウント機構を持っているためだ。僕も初めてEマウント機であるSONY α7IIを買った頃は、こんなに高いお金を出して手に入れたEマウントレンズを使えなくなるなんて勿体無い、きっとSONY Eマウントを使い続けるんだろうなあ・・・。となんとなく信じていた。
それから3年、僕は2回もレンズマウントを変えている。
SONY α7II (Eマウント)→ FUJIFILM X-Pro2(Xマウント) → SIGMA fp(Lマウント)
なぜこんなことになったのか。理由は「レンズ資産」のために他ならない。先ほどは自分の使うマウントのレンズという主観的な意味でレンズ資産という言葉を使った。レンズは中古でも値下がりが小さく、客観的にもレンズは資産なのだ。
要は使いたい他社のカメラがあったとき、同じくらいのスペックの他社レンズに買い替えてもそれほど大きな出費にはならないのだ(一方でボディは消耗品の側面が強いため、レンズよりはリセールバリューは低い)。
実際に僕はFUJIFILMが気になり始めた1ヶ月後にはSONYを全部売ってFUJIFILMを手に入れたし、SIGMAが気になり出した1週間後にはFUJIFILMを売ってSIGMAを手に入れている。
マウント変更のハードルは思いの外低いということを声を大にして言いたい。これを読んでいるあなたも来月の今ごろ同じマウントを使っている保証はどこにもないのだ。
前振りが長くなったが、ここで一つ問題が出てくる。マウントアダプターだ。
僕はSONY α7IIでオールドレンズをたくさん使っていた。そのためにEマウント用のマウントアダプターもたくさん用意した。それらが、今手元にあるSIGMA fpとの組み合わせでは全く役に立たないのだ。SONY α7IIを使っている時はこんなことを想定していなかったので、困った。
そこでこれを読んでいるあなたが同じ轍を踏まないように、Leica Mマウントアダプターの勧めを提案したい。概要は以下だ。
- マウントアダプターはLeica Mマウントボディ用を入手し、全てのオールドレンズをMマウントに変換できる状態を作る
- お手持ちのカメラボディに対応したLeica Mマウントレンズ用アダプターも用意する
- 全てのオールドレンズがLeica Mマウントアダプターを噛ませて使える
- もしカメラを買い換えても、Leica Mマウントレンズ用のアダプターだけ買い換えればOK
これは複数のマウントのカメラを並行して使用するときにも便利だ。本文で詳しく解説していく。
※なおM42 Leica MマウントアダプターをK&F Concept様より提供していただきました。本記事では他にもマウントアダプターがいくつか出てきますが、それらは筆者が購入したものです。
Leica Mマウントが現代のユニバーサルマウントになる
一眼レフの発明よりも昔、レンジファインダーカメラが主流だった頃は多くのメーカーがLeicaと同じスクリューマウントでレンズやカメラボディさえも作っていた。Canonだってそうだし、NikonだってSマウントとLeicaスクリューマウントをどちらも作っていた。
一眼レフの時代になるとM42マウントだ。Carl Zeiss、PENTAX、ヤシカやロシアの光学メーカーが共通のマウントでレンズとカメラボディを製造した。現代でも通用する素晴らしい設計のレンズや収差だらけのクセ玉など、M42マウントの人気のレンズは枚挙に暇がない。
当時は同じボディでいろんなレンズが使えて、さぞ幸せだっただろう。
じゃあ、現代でそれらに相当するレンズマウントは何だろうか。筆頭候補はLeica Mマウントだろう。Leicaはもちろん、Carl Zeissやコシナ、近年勢いのある中華メーカーも多くのMマウントレンズを製造・販売している。そこに乗っかって「一眼レフ用のオールドレンズもMマウントに変換しておけば便利じゃない?」というのがこの記事の趣旨だ。
Leica Mマウントとは
Leicaのレンジファインダーカメラで使われているのがMマウントだ。ミラーレスと同じくミラーボックスがない設計のため、フランジバックが一眼レフより短い。様々な一眼レフ用のレンズのためのマウントアダプターが製造されている。
いろんなマウントをMマウントに変換する具体例を2つ紹介しようと思う。
LeicaスクリューマウントをLeica Mマウントに変換する
これはやっている人が多いと思う。本来Leicaのマウント同士なので自然なことだ。例えば、SIGMA fpで使うなら、
- スクリューマウントレンズ→Lマウントボディアダプター
- スクリューマウントレンズ→Mマウントボディアダプター + Mマウントレンズ→Lマウントボディアダプター
このどちらかを選択することになると思うが、オススメは圧倒的に2番だ。手間はかかるがスクリューマウントとMマウントのどちらも対応できるため、拡張性は段違いだ。
Summaron f=3.5cm 1:3.5の作例も紹介しておく。
M42マウントをLeica Mマウントに変換する
今回K&F Conceptのマウントアダプターを使ってやってみたのがこれ。マウントアダプターを2つ噛ませるので、公差が2回分乗るのが気になっていたのだけれど、やってみたら全く問題なし!
むしろミラーボックスのスペースの間延びがなくなってメカメカしいかっこよさが増している気がする・・・!レンズもつけてみると
くびれができてしまっているのが気にならなくはない。が、凹凸が多い分指への引っ掛かりがあって滑りにくいメリットも。
せっかくなのでK&F ConceptのM42 – Leica Mマウント アダプターを簡単に紹介しておく。なお、特別に割引コードも準備してもらったので記事の最後に掲載しておきます。
K&F Conceptのマウントアダプターユーザーならおなじみの箱に入っている。加工精度も申し分ないし、何より嬉しいのが内側の反射防止加工。
フレアやゴーストが大好物なんだけれど、マウントアダプター由来のそれは避けたい。そんな僕にとって反射防止加工はマウントアダプター選びにおいて必須項目だ。
▲こちらがSuper-Takumar 1.4/50の作例。開放でとろりとボケる背景に、玉ボケは輪郭がはっきりしている。
▲こちらがHelios 44の作例。盛大なぐるぐるボケが楽しめるのはオールドレンズならでは。
マウントアダプターの買い替えを効率的にできるようになる
ここまでの例で、例えばカメラをSIGMA fpからCanon EOS RPに買い替えたとしましょう。もし全てLマウントボディアダプター直結のマウントアダプターを集めていたら、それら全てを買い換える必要が生じる。
しかしLeica Mマウントを経由して変換していたらどうだろう。Mマウントレンズ→LマウントボディアダプターをMマウントレンズ→RFマウントボディアダプターに買い換えるだけで済むのだ。そうすれば他のすべてのマウントアダプターが転用できる。
ひとつひとつのマウントアダプターはそこまで高価ではなくても、いくつも買い換えることになれば相当な出費だ。だからこそ、この方法をおすすめしたい。
注意点
一見いいことづくめにも思えるが、注意点もあるので併記しておく。
よっぽど特殊なレンズを使わない限りは無視できるものだが、念のため記載しておく。下記のような場合は、専用のマウントアダプターを使用した方が安心だろう。
- Leica Mマウントはマウント型が小さいため、レンズの光学設計によってはケラれなど画質劣化が発生する場合がある
- マウントアダプターを2つ併用するため、重いレンズを使うときに剛性が不足する可能性がある
今日のぐうの音
「オールドレンズを使うときはLeica Mマウントアダプターを経由させてマウントアダプターを揃えていくと、カメラボディを変えたときのダメージを最小限にしてくれる」
という解説をしてきた。この記事ではLeicaスクリューマウントとM42マウントを例に紹介したが、もちろんNikon FマウントやPentax Kマウント、Canon FDマウントでも同じことは可能だ。所有するオールドレンズのマウントが増えれば増えるほど高価を発揮するので試してみてほしい。
今回特別に割引コードを準備していただいたので、よかったらご利用ください。
- Amazonで5%OFFコード(2020.3.31〜2020.5.31): K5CZVJW8
- 公式サイトで10%OFFコード(2020.3.6〜2020.5.30): KFJP10
[…] していないことが難点だが、Leica Mマウントを経由して変換すれば、ほとんどの場合に対応できる。 […]