MS-OpticsのApoqualia 1.3/35 II SLIMを購入して、半年ほど使ってみたのでレビューしてみる。
購入に至るまでの経緯、外観や使い方レビュー、作例の順に紹介していく。
Leica Summilux-M 35mm F1.4 2ndと迷った・・・
滲み描写をするレンズとして僕はSummarit-L 5cm F1.5とSummilux-M 50mm F1.4 1stを所有していて、とても気に入っている。実はMS-OpticsのApoqualia 2/28も割と近い描写で「35mmでも同じ世界観で撮れたらいいな」と常々考えていた。
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滲みレンズで必ず名前が上がるのがSummilux-M 35mm F1.4 2ndだ。小さいし開放の滲み描写も面白いし、本気で購入を考えた。
でも自分のシルバーのLeica M10-Rにつけてみたときに、あまりしっくりこなかった。レンズ単体では最高にかっこいいんだけれど、シルバークロームのデジタルボディとの相性なのだろうか。
これで価格が15万円くらいなら、「とりあえず買ってみるか」となるのだけれど、最近の価格には閉口した。
そんなとき「オールドがないならMS-Opticsがあるじゃない」という声が聞こえた気がした。
でもApoqualia-G 1.4/35は生産終了で中古市場にもほとんど流通していない。ましてやMapcameraとコラボしたREIROAL 1.4/35なんて手に入らない。そう思っていたときにちょうど後継モデルが発売された。まさに渡りに船だ。
Apoqualia 1.3/35 II SLIMの外観チェック
そんなわけで28mmに続き35mm版のApoqualiaも購入した。
今回購入したのはシルバーの真鍮モデル。他にもブラックやアルミのモデルもある。
沈胴を引き出してみるとこんな感じ↓
色はシルバーなんだけれど、シャンパンゴールドっぽいわずかに黄色みがかった感じ。同じ真鍮だけれどシルバーボディのライカの色味とは差がある。
ザラザラしたマットな質感。Leicaのような高級感を求めるものではないけれど、ずっしりとした密度を感じて所有欲は満たされる。
ちなみに沈胴のロックとフードの装着はどちらもねじ込み式だが、互いに逆ネジになっている。したがってフードをつけるときに沈胴のロックが解除される、なんてことは起きない。よく考えられている。
絞り操作はすこぶるやりにくい。説明書には「細い棒で・・・」なんて書いてたけれど、普通に人差し指でもできるので安心してほしい。操作性は悪いけれど。
そしてF8〜16の間が狭すぎて、この辺は感覚でしかわからない。TTLで測光できるカメラなら問題ないとは思うけれど、露出計なしフィルムカメラでポジフィルムだとちょっと困るレベルかも。
Leica M10-Rに装着してみた↓
沈胴レンズをたくさんリリースしている時からほとんど変わらないクラシカルなデザインのカメラだけあって、意外とマッチしている(と、僕は思う)。
Apoqualia 1.3/35 II SLIMの描写
繰り返し説明している通りApoqualia 1.3/35 II SLIMは滲み描写が特徴的なレンズだ。プレビューで見ていると開放だとピントの山が掴みにくいほど。レンジファインダーはレンズの特性によらずフォーカシングできるのでこういう点では有利かもしれない。
1段絞ってもまだ滲む。2段絞ってF2.8くらいから普通に使える(?)レベルになってくる。それでも柔らかさはあるので、キリッと写したいならF5.6以上は絞りたい。
こんな感じで絞りによって描写が変わる、撮ってて楽しいレンズだ。
建物の影が面白くて撮ってみた。少し絞ったと思うが周辺はやはりフレアが乗った柔らかい描写だ。
こういう画は絞って撮るべきなんだろうけれど開放。奥の車のヘッドライトのボケが暴れている。
滲みレンズで撮ると乾いた冬の空もややしっとりして見える。周辺減光はやっぱり大きい。
夕焼けの低い光が綺麗だったから撮ってみた。強い光が入るとハイライトの滲みがより強調される。
これはサジタルコマフレアを確認するために撮った一枚。ここまですごいのはみたことがない。そしてフルマルチコーティングで色乗りが良いのもMS-Opticsの特徴。
F4くらいだったかなあ。このくらいまで絞ればキリッとする。
これも絞った作例。手持ち。周辺は流れるけれど中央は言うことなしの描写。
今日のぐうの音
よく行く場所で、もはや新しい発見がなさそうな場所でもApoqualia 1.3/35 II SLIMを通せばいつもと違う景色に見える。嵩張らないので、いつもの散歩にこそぴったりなレンズだ。
また次の日の散歩の時にはもう一段絞って撮れば、また少し違って見えてくる。いろんな描写が楽しめて、ある意味お得なレンズなのかもしれない。
こうやって並べられるくらいキーボードを買い漁るようになるなんて思ってませんでした。
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