僕はSIGMA fpを購入して以来、外出時はほぼ全てオールドレンズで運用している。かなり割り切りの激しいSIGMA fpというカメラをオールドレンズとともに使うことについて改めて考え直してみた。
果たしてSIGMAfp はオールドレンズの母艦として最適と言えるのだろうか?
まず結論から言ってしまおう。SIGMA fpをオールドレンズの母艦として考えると、ベストな選択ではないが十分に及第点といえる。「ベストではない」と考える理由は以下
- マウントアダプターがまだ充実していない
- ボディ内手振れ補正が搭載されていない
- EVFが搭載されていない(MFに不利)
どれもより快適にオールドレンズを使用したいならあれば嬉しい機能だ。①は別として、②、③はSIGMA fpが小型であることとのトレードオフとなっている。
じゃあ僕がこれらの機能を搭載したカメラボディに買い替えるのかと聞かれると、答えは「No」だ。オールドレンズの母艦としてSIGMA fpじゃないといけない理由を掘り下げていく。
なお、記事の最後では現状でオールドレンズにベストなボディについても主観たっぷりで考察しているので参考にしてみて欲しい。
オールドレンズの使い勝手は悪くない、むしろ良い
ボディ内手ぶれ補正やEVFなど、ハード面では(必須ではないものの)オールドレンズ向けの機能が省略されているのは前述の通り。一方でソフト面に目を向ければ、非常にオールドレンズの使用に適している。その理由は以下
- MFの UIが使いやすい
- オート時にシャッタースピードの下限が指定できる
この点について詳しく話していこう。
MFの UIが秀逸
PinPはフォーカシングとフレーミングが同時にできる最高の機能だ。拡大中に背面ダイヤルを回すことで拡大倍率を4倍と8倍で切り替えられる。
拡大ボタンを連続して押すことで「拡大→さらに拡大→拡大解除」と切り替えられるタイプよりも、SIGMA fpの方が使い勝手がいい。4倍のみでフォーカシングを確認できれば、僕の用途では十分だからだ。
拡大解除もシャッターボタン半押しでOKというのも、テンポを崩さず撮影できる。これができるかできないかではオールドレンズの使い勝手に雲泥の差が生じる。
この辺のMF周りの使い勝手はよく考えられている。MFを多用する(AFが弱いとは言ってない)SIGMAボディユーザーだからこその配慮なのかもしれない。
シャッタースピードの下限設定も明快でよし
Aモード(絞り優先オート)では、シャッタースピードをカメラが自動で決定してくれる。使用しているレンズの焦点距離に合わせてどこまで遅くできるかは異なるわけだが、電子接点のないオールドレンズの焦点距離がカメラにわかるはずもない。したがって手動で設定することになる。
設定メニューの深いところに潜らなくても簡単に設定を変えられるのが、まずはいいところだ。
とはいえレンズを交換するたびに設定を変えるのは些か面倒なので、僕は基本的に1/100秒に設定している。これなら使うオールドレンズの焦点距離が35 mmでも50 mmでも大丈夫。なおかつフリッカーも抑えられるという最高の設定だ。
85 mmなどの中望遠を使う時は心許ないので、1/200秒に設定し直している。設定の深くまで潜らなくても再設定できるのは本当にありがたい。高感度耐性も優れているので常時1/200秒にしたいところだが、そこは電子シャッターしか使えないSIGMA fp。1/200秒ではフリッカーが乗ってしまうので泣く泣く屋内では1/100に戻す(というか屋内で中望遠以上を振り回すことはほぼないけれど)。
ボディの小ささのおかげでオールドレンズとベストバランスに
EVFがないだとか、ボディ内手ブレ補正がないだとか、ハード的に及ばない部分について記事の冒頭で言及した。しかしそれらをひっくり返すくらいのメリットがSIGMA fpにはある。
それはボディの小ささだ。
オールドレンズは現行のレンズよりも小さい。レンズ内手振れ補正機構もなければ、AFのためのモーターもない。光学的にもシンプルなのでレンズの構成枚数も少ないことが多い。レンジファインダーカメラ用の レンズでその傾向は顕著だ。
そんなレンズをデジタル一眼に装着した時、やっぱりアンバランスさを感じてしまう。重心の都合で持ちにくいとか、そういった意味ではなく、あくまでみてくれの話だ。
僕はオールドレンズを選ぶ時、レンズのコンディションと同じくらい(もしかしたらそれ以上に)外装の綺麗さを気にする。プロダクトとして触れたときの気持ちよさを優先するからだ。そんな僕なので、主張の強い最新のデジタル一眼にオールドレンズを合わせることに気後れしてしまうこともあった。
小さな筐体で前面に「SIGMA」の主張すらないSIGMA fpをみたときに、これぞオールドレンズの母艦になるボディだと直感した。
その目論見は正解で、個性的なオールドレンズを邪魔しない最高の相棒となっている。
> Leica Summaron 3.5cm F3.5レビュー【SIGMA fp+オールドレンズ】
キュービックなSIGMA fpのデザインは単体で見ればモダンそのものだが、オールドレンズを装着した途端レトロさすら感じさせてくれる。
やっぱり僕の相棒はSIGMA fpだ。
現状でオールドレンズにベストなボディは?
「じゃあ2020年6月現在、オールドレンズにベストなボディは何なのか」と聞かれると・・・SONY α7 IIIではあまりにつまらない。将来性も期待してNikon Z 6を挙げさせていただきたい。
主な理由は
- レンズに合わせた焦点距離を選択してボディ内手振れ補正を設定できる
- バックフォーカスの短いレンズでもマゼンダ被りが発生しにくい
- Nikon FマウントレンズでAFが使える
マウントアダプターも充実してきており、不満に思うことはほとんどないだろう。TECHART LM-EA7相当のAF化マウントアダプターがないのだけが悔やまれる。
Nikon Z 7はオールドレンズ用途ならオーバースペックな解像度だし、Canon EOS Rシリーズは手振れ補正を(現状は)レンズ側に頼っている。それにいくらEFマウントレンズの使い勝手が良くても、(主観ではあるが)EFマウントレンズはオールドレンズに含まれない。
とにかく、Nikon Zシリーズなら非Aiから最新までのニッコールレンズを純正マウントアダプタで使えるのがいいよね、という話。
ま、僕にとってのベストはSIGMA fpなんだけれど。
今日のぐうの音
オールドレンズをSIGMA fpで使っていて感じることをまとめてみた。僕のようにオールドレンズをSIGMAfp で使いたいと思う方の参考になれば嬉しい。
まあ不便な点こそあるものの、不満は全くないといっていい。その理由は不便さを解消できる機能があったとしても、それを積極的に使うこととは別の話だからだ。SONY α7 IIを使っていた時の話。ボディ内手振れ補正が搭載されていてもレンズ交換の度に焦点距離を設定するのが面倒で使わなくなった経験がある。
そういった意味ではSIGMA fpなら全ての機能を余すことなく使い切れるという解釈もできる(いささか話が飛躍しすぎかもしれない、そしてあくまでスチルの話で、SIGMA fpの動画機能は使い切れていない)。
最終的には感覚的な話になってしまうが、軽量なオールドレンズをパンフォーカスに設定して小柄なSIGMA fpを軽快に振り回しながらパシャパシャ撮るのが本当に楽しいのだ。これぞScalable?
もしあなたが少しでもSIGMA fpでオールドレンズ運用を検討しているなら、ぜひこちらの世界に飛び込んできて欲しい。
[…] この辺の話は「オールドレンズの母艦としてのSIGMA fpを考える」という記事で詳しく解説している。 […]